【A-PEN68開発の記録】最終話 ~実釣による最終調整と完成形へ~
- R.Nakanishi

- 20 時間前
- 読了時間: 11分
4月末にリリースさせていただいて以降、多くの方に手に取っていただけるようになったA-PEN68。
今回は、ここまで続けてきたA-PEN68開発ブログの最終話として、実釣による最終調整から完成形に至るまでの流れをお届けしたいと思います。

■大阪湾ボートチニングでのテスト
2025年7月9日。“最終形状に近いプロトタイプ”を持って、琵琶湖北湖でのテストの次に向かったのが大阪湾でした。
結果は、非常に良好でした。
朝イチからバイトも連発し、実際に使っていただいた中で、「ボートチニングでも余裕で使える」「飛距離・操作感・浮き姿勢、すべてが高次元でまとまっている」という評価をいただくことができました。
A-PEN68が、チヌ用トップウォータープラグとして十分に通用する。それを、実釣の中でしっかり証明できたテストだったと思います。
■武庫川・淀川での継続テスト

さらに、チヌの実釣テストも引き続き進めていきました。
これまで長期間にわたって開発に協力してくださっていたTK拓也さんには、武庫川・淀川でのテストを継続してお願いしました。結果として、拓也さんにも良型のチヌを複数釣っていただき、68mmというサイズ感、そして8g台という重量バランスが、チヌにしっかりマッチしていることを確認できました。
これまで、フラッグシップさん、トップバトラーさん、ノースウェーブ北方さん、TK拓也さん。本当に多くの方々に関わっていただきながら、A-PEN68は各地でテストを重ねてきました。その流れの中で、さらに新しいご縁もいただくことになります。
■瀬戸内チニングでのテスト

新たにご縁をいただいたのが、瀬戸内爆釣隊さんでした。
瀬戸内爆釣隊さんは、瀬戸内エリアで長年チヌトップをやり込まれている実力派アングラーです。僕自身、その瀬戸内幕長隊さんにお会いするため、山口県の岩国へ遠征させていただきました。
現地では、広島・山口周辺、いわゆる瀬戸内チニングでA-PEN68のテストを実施しました。当日は大雨後ということもあり、かなり厳しいコンディションでした。それでも、瀬戸内爆釣隊さんにA-PEN68を使っていただき、実際に良い釣果を出していただくことができました。
僕自身も同日にチヌを2本キャッチすることができ、A-PEN68が関西だけではなく、瀬戸内のチニングフィールドでもしっかり通用することを確認できました。
■透明度の高い水で見えたチヌの反応
岩国の川は、関西の淀川とは水質も地形もまるで違っていました。特に大きかったのが、圧倒的な透明度です。
水が澄んでいるからこそ、チヌがどの距離からルアーを発見し、どんな軌道でチェイスしてくるのか。その一部始終を目で追うことができたんです。
そこで見えてきたことがありました。
ワンノックサウンドに反応して距離を詰めてくる個体がいる一方で、逆にその音を嫌がって逃げてしまう個体もいる。
音、アクション。そのどれか一つでも、チヌのスイッチを押す要素になります。でも同時に、それが逆にスイッチを切ってしまう要素にもなり得る。
この“音の使い方”を、瀬戸内という透明度の高い環境で実際に観察できたことは、僕にとって非常に大きな学びでした。
■サウンドモデル分岐への決断

この経験を経て、A-PEN68では「音の有無を選べる2パターン」を展開するという方針にたどり着きました。
以前からトップバトラーさんとも話をしていたのですが、実はA-PEN90の時代にもサイレントモデルは試作していました。その時はワンノックモデルの完成度が高く、一旦サイレントモデルの案は保留していたんです。
ただ、今回のA-PEN68という“食わせサイズ”においては、明確に2パターンが必要だと感じました。そして、その判断を後押しするようなアドバイスもいただきました。
その結果、A-PEN68はチニング用として、サイレントモデルもリリースすることになりました。
◉ワンノックサウンドモデル
ワンノックサウンドモデルは、重心移動による「カンッ」という明瞭な打音が特徴です。
存在感が強く、広範囲の魚に気づかせる力がある。いわゆる“アピール型”のモデルです。
特に、ささ濁りの状況や、魚にルアーの存在をしっかり伝えたい場面では、このワンノックサウンドが大きな武器になります。
◉サイレントモデル
一方、サイレントモデルはウェイトを固定し、音を排除した静音タイプです。プレッシャーの高い状況。魚が音に対して警戒している場面。水が澄んでいて、視覚的にルアーを追わせたい場面。そういうシチュエーションでは、サイレントモデルが有効になると考えています。音で呼ぶのではなく、動き・水押・シルエットで喰わせる。そういう場面に対応できるモデルです。
■音がある・音がないという明確な選択肢

同じボディサイズ、ほぼ同ウェイトでありながら、内部構造が違うことでアクションの質感も変わります。
ワンノックモデルは、水をしっかり押しながらスケーティングさせやすい。サイレントモデルは、軽快でハイレスポンスなドッグウォークを演出しやすい。
どちらもA-PEN68の根幹にある“飛距離”と“操作性”は共通しています。ただ、音と動きのニュアンスによって、魚に与える印象はまったく違うものになります。
現在、日本国内でこのクラス、68mm前後のペンシルベイトにおいて、これほど明確なワンノックサウンドを持つモデル。そして完全なサイレント仕様のABSペンシル。このどちらも、少なくなっていると感じています。
多くの他社製品は、その中間。控えめなラトル音を持つモデルが主流です。だからこそA-PEN68は、「音がある」「音がない」という明確な二択を持つ数少ない国産ペンシルベイトとして、トップウォーターシーンに新しい選択肢を提示できる存在になると思っています。
広範囲を呼び寄せるワンノックモデル。静寂の中で喰わせるサイレントモデル。
そのどちらもが、状況と魚の気分次第で“正解”になり得る。そして、アングラーが現場で自分の戦略に合わせて選べる。
そんな自由度を持ったペンシルベイトが、ようやく形になりました。
■バスでも、チニングでも。オカッパリでも、ボートでも。

バスフィールドでも、チニングフィールドでも。そして岸釣りでも、ボートでも。
単なるサイズ違いではなく、バスとチヌ、淡水とソルト、ワンノックとサイレント。そのすべてを見据えて作り込んだ一本です。
■大切にしている「ストレスフリー」という考え方

A-PEN68というルアーが完成に近づく中で、僕の中では「これがADUSTAにとってどういう意味を持つのか」ということを改めて考えるようになりました。
これまでADUSTAのルアーというのは、“よく飛ぶ”という部分をひとつの特徴として評価していただいてきました。
いずれも、そのカテゴリーの中で「とにかく飛ばしやすい」「ストレスなく飛ぶ」という点を、多くのユーザーさんに評価していただけたと思います。
A-PEN68に関しても、その“飛距離”と“ストレスフリー”という部分には、最も重点を置いて開発を進めました。
そしてこの“ストレスフリー”というテーマは、今後のADUSTAのすべてのルアーに共通して持たせたい考え方です。
キャストしたくなる。もう一投したくなる。気づけば夢中で投げ続けてしまう。
そういう、投げること自体が楽しいルアーを、これからも作っていきたい。
キャストした瞬間の爽快感。しっかり飛んでいると感じられる手応え。そして「使っていて気持ちがいい」という、釣り人の感覚に直結する気持ちよさ。
そういった“使い心地の良さ”を、ADUSTAがこれから出していくルアーの中に、しっかり詰め込んでいきたいと思っています。
■日本のリザーバーとヨーロッパの共通点

A-PEN68というサイズ感は、バス釣りの世界でも非常に重要なレンジに位置しています。
日本各地に点在するリザーバー、野池、川。休日の限られた時間でバスと向き合い、その中で自分にとって“価値ある魚”と出会う。
そんな釣りの中で、7〜14g、3/8オンスを中心とする重量のルアーは、一番楽しくて気持ちよく使えるサイズ感だと感じています。
そして、このサイズ感は日本だけでなく、海外の釣りにおいても非常に汎用性の高いレンジです。
ヨーロッパをはじめとする各国では、ベイトタックルよりもスピニングタックルが主流です。4〜14g程度のルアーが最も多く使われるレンジだと感じています。
対象魚は、パーチ、ヨーロピアンパーチ、チャブ。時にはパイクやヨーロッパナマズといった大型魚を狙う釣りもあります。
ただ、一般的な釣りとしては、やはりこの中軽量帯のルアーが中心になってきます。
それはつまり、日本のリザーバーや野池の釣りと非常によく似た世界観なんです。
国内外を問わず、気持ちよく投げられて、思い通りに動かせて、魚が反応する。そんなルアーをこれからも作り続けていきたい。
A-PEN68は、その方向性を明確に示してくれた一本でもあります。
ストレスフリーな使い心地。しっかり飛んで、よく動いて、魚が応えてくれる。そして、手にした人が“釣っていて楽しい”と感じられるルアー。それが、ADUSTAが目指すこれからのものづくりです。
■エピローグ

今回のA-PEN68を完成させるまでに、本当にたくさんの出会いと学びをいただきました。
A-PEN68の開発は、まさにその学びと重なりながら進んでいったプロジェクトでもあります。自分の中でも、非常に研ぎ澄まされたペンシルベイトに仕上げることができたと感じています。その分、自分の中でも“やりきった”という感覚があります。
そして、このA-PEN68を作るきっかけをくださったノースウェーブの北方さんには、心から感謝しています。琵琶湖で、このクラスのトップウォーターの有効性を見せていただけたこと。明確なアドバイスをいただけたこと。本当にありがとうございました。
そして、津波ルアーズの元木さんとの淀川での釣行。
あの時の釣りが、A-PEN68を仕上げる上で大きなヒントをくれました。ワンノックサウンドの強さ、効果、そして存在感。元木さんとの釣行を通して、それを肌で感じることができました。あの日に誘っていただいたこと。一緒に船に乗せていただいたこと。心から感謝しています。
みなさんとの出会いがなければ、僕は今でも海の釣り、いわゆるソルトの世界に、ここまで深くのめり込むことはなかったと思います。
正直、以前は海の釣りにバスフィッシングほど興味があったわけではありません。でも、このチニングという釣りを通して、「海の釣りってこんなに面白いんだ」と気づかせてもらいました。僕の釣り人生の中でも、A-PEN68を通したこの経験は、大きな転換点になったと思います。
こうして多くの方々と関わり、本当に多くのご協力をいただきながら、試行錯誤を繰り返して完成させたA-PEN68。
僕にとっても特別なルアーですし、ここまで時間と情熱を注いで作らせてもらえたこと自体に、ただただ感謝しかありません。
ここまで切り詰めて作り上げたA-PEN68だからこそ、ぜひ皆さんにも、バスでも、チニングでも使ってもらいたいと思っています。
僕にとってA-PEN68は、単なるペンシルベイトではなく、出会いと学びをくれたルアーです。
そして、これを手に取っていただいた皆さんにも、何か新しい発見や、楽しい出会いが訪れる一本になれば。
それが創り手として、何よりの喜びです。
皆さんそれぞれの、自分なりのスタイルで、A-PEN68というペンシルベイトを思いきり楽しんでいただければありがたいです。



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