ADUSTAのルアーデザイナー中西です。
今回はサイレントブラスターの開発の背後にある物語を掘り下げていく。なぜサイレントブラスターを開発することになったのか?そしてバルバトスへとつながっていく流れを紹介しよう。
●オーストラリアでのマーレーコッド釣行からインスピレーション
きっかけは2016年のオーストラリア釣行がスタートとなった。もともとオーストラリアではHALCO社のナイトウォーカーなどマーレーコッド用でノイジーが一般的に使用されており、日本のメーカーではエバーグリーン社のティンバーフラッシュ・ノイジーダックスが効果的でボディ同士がヒットするクリック音がマーレーコットに効くということを現地のディーラーであるグラディエータータックルのステファンさんから教えてもらえた。それらの経験から、世界各地・日本でも使えるウエイクベイトとして開発をスタートした。
●ビッグバスが釣れるウエイクベイトといえばビッグバド
トップウォーターの中でもビッグバスか釣れると、90年代トーナメントシーンから認められるようになったヘドン社ビッグバド。特徴的なアルミ缶デザインのボディにミッドレンジクランクと見待ちがわんばかりのリップ。早巻きすれば当然潜ってワイドなアクションを演出するのだが、実際にキーとなる巻スピードはアクションするギリギリのデッドスローリトリーブ(ここではデッドスローの定義をルアーがリトリーブでアクションし始める限界のスロースピードと定義する)。その際に不意に繰り出される一瞬抜けたような千鳥ダートアクションがバスのバイトタイミングを誘発すると言われていた。千鳥アクションと合わせてビッグバドがビッグバスにスイッチを入れると言われていたのは、テールのブレードが奏でる金属音。この金属音とデッドスローの千鳥アクションを内包しつつ、オーストラリア釣行で学んだボディのクリック音、更にはテールパーツのカスタマイズ構造を組み合わせ、多様な状況への対応を目指して開発したのがサイレントブラスターだった。
サイレントブラスターのタックルセレクト
●MHクラスで扱えるサイズ感
そもそもオーストラリアでのマーレーコッド釣行に端を発してはいるものの、日本のバスフィッシングでしっかり扱えるサイズ感をめざして設計している。全長140mm・45gのボディは、7ftクラス・MHパワー・レギュラーテーパー系のロッドが扱いやすく、ウェイクベイトという性格からバイトも弾きにくいおすすめセレクトになっている。
●リールはローギアかノーマルギア
千鳥系ダートキルアクションを演出させる絶妙なスローリトリーブスピードをコントロールしやすいのは、やはりローギア。慣れてくればもちろんEXハイギアでも可能だが、ウェイクベイト系は長距離を同じスピードで巻いてくるのが定石。その中でサイレントブラスターはビッグバドと同じく、アングラー側が一定で巻いているとルアー側が時折自動的にキルアクションを発生してくれるように設計しいる。是非ともデッドスローリトリーブで使用していただきたいルアーなのだ。
サイレントブラスターのアクション設定
●スローリトリーブでの水押
ザックロールのブログでも記載したがウェイクベイトが属するトップウォーター系は水にいかに馴染んでいるか?いわゆる【水押し】という状態が釣れるアクションと言われている。サイレントブラスターは強い浮力を持ちながらも、頭部からテールに続くボディ形状と長めのリップで、水をしっかりとボディにまといながらアクションし【強い水押し効果】を発揮する。
●テールパーツ・ペラとブレードについて
サイレントブラスターには純正で2つのテールリグが同封されてる。標準装備しているのはペラ。このペラはヒートンで装着されており、直上にあるエイト環と干渉するように設計しておりペラによるプロップ音を不規則に発生させるとともに、金属接触サウンドもイレギュラーに発生しアピールする。
オプションパーツとして同梱しているブレードとメタルプレートは、ビッグバド系ウエイクベイトにチューニングできるようにしたものだ。デッドスローリトリーブで、より千鳥系ダートキルアクションが発生しやすくブレードの接触音とフラッシング・ワンノックサウンドもあいまって、ハイアピールなアクションを実現している。
●大音響ワンノックサウンド
サイレントブラスターの最大の特徴と言える大きなワンノックサウンド。これはマッディーウォーター・ハードカバー・ハードボトム(岩盤系)などで特に強い効果を発揮しやすく、サタン島田氏が仕留めた66cm・4kgOverのバスはまさにこのスチュエーションだった。
これ以外にも広範囲から活性の高いバスだけを取りたい時、威嚇系のバイトを引き出したいシーズンなどにも有効な設計になっている。
●実際の釣果
開発の発端となったオーストラリアからは、プロトモデルで複数のマーレーコッドを捕獲してくれるなど好調の連絡が入り続けている。
シンガポールでもADUSTAディーラーのBONE FISHINGテスターからピーコックバスの釣果報告も頂いておりエキサイティングなトップウォーターゲームを海外でも楽しんでいただいている。
日本国内では、サタン島田氏の66cm4kgOverを始めADUSTAテスター邊見からもリザーバーでの釣果が報告されサイレントブラスター独自のハイピール性能を活かした使用方法が広がりつつある。
次回はサイレントブラスターの原型や内部設計など、構造に焦点を当てながら、バルバトスへ続くビッグバス捕獲の舞台裏をご紹介できればと考えている。
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