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ネオリーン開発秘話~episode 4~ 製品化への道 ― 量産精度とビジュアルへの飽くなきこだわり

  • 執筆者の写真: R.Nakanishi
    R.Nakanishi
  • 5月20日
  • 読了時間: 4分
ネオリーンの内部構造
ネオリーンの断面内部構造

前回、ネオリーンの基本設計が完成し、プロトタイプで理想のアクションとバランスを実現したことをご紹介しました。しかし、ここからが本当の意味で「製品」として世に送り出すための、もう一つの戦いの始まりだったのです。今回は、量産精度の追求とビジュアル面の仕上げに込めた細部への執念について、詳しく掘り下げていきます。


高精度量産への挑戦 ― ウェイト管理の重要性

ルアーの量産において重要なのは、設計通りの性能を一つ一つの製品に再現できるか、という点です。特にネオリーンのように、浮力とアクションのバランスを絶妙に設定したポッパーにおいてウェイト管理は生命線でした。


製造誤差との闘い

量産時に発生しうる代表的な重量誤差は、以下のようなものがあります。

●ウェイトのばらつき(成形時の微小な誤差)

●ボディの微差(ABS樹脂の成型収縮作用)

●フック重量の微妙な違い(溶接仕上げによる個体差)

それぞれ単体で見れば微細な誤差にはなるのですが、これらが積み重なれば、0.5g・1gと変化しアクションの質を左右してしまいます。


オリジナル成形ウェイトの採用

独自形状の内部ウエイトモデル
独自形状の内部ウエイトモデル

そのためネオリーンは、内部ウェイトにはオリジナル形状の成形ウエイトパーツを採用。ウェイトパーツを0.1g単位で管理し量産品でありながら試作段階の【奇跡の一個体】と変わらぬパフォーマンスを全製品で再現。使用感のばらつきを極限まで抑え、理想とするアクションが発揮できるように製造しています。


「見た目」もまた性能の一部 ― ビジュアルへのこだわり

ネオリーンの機能とビジュアルを一体化させた形状
ネオリーンの機能とビジュアルを一体化させた形状

ネオリーンは、単なる「釣れる道具」ではありません。ルアーそのものが放つ存在感や所有感もまた、キャストしたくなる、信じて投げ続けることができる【心理的機能性】を有する要素だと考えています。

インジェクトルアーだからこそできる微細な形状の再現、透明感のあるカラー表現。それらを最大限に引き出すために細部に至るまで納得の行くまで微調整を行い、機能と一体化した筋肉質なボディシェイプを実現しています。これは単なるリアル系というカテゴリーにと留まらず、【アクションの質】を高めるため、【心理的機能性】を持たせるための独自の造形を追求した仕上げになっているのです。


手描きから生まれるリアルな鱗

ネオリーンは全体を一体感あるウロコ模様で包み込むことで生命感を再現している
ネオリーンは全体を一体感あるウロコ模様で包み込むことで生命感を再現している

ネオリーンのスケールパターン(鱗模様)は、一般的な量産ルアーのような機械的なパターンではありません。実際の魚の鱗パターンを細部まで観察し、部位によって1枚1枚異なる形の鱗を手描きでデザインし、電気切削技術で金型へ彫刻。光の角度に応じて自然な立体感とフラッシング、水の絡みを実現し、実際の魚体に近いリアリティ溢れるビジュアルと水絡みを再現しているのです。


所有感を満たすカラーリング

リアル系の「AP(アドバンスドペイント」は超多重レイヤーで生命感を再現している
リアル系の「AP(アドバンスドペイント」は超多重レイヤーで生命感を再現している

ネオリーンはカラーリングにもこだわっています。特に「AP(アドバンスドペイント」と銘打ったカラーにおいては、魚が持つ鮮やかでいて淡い絶妙・微細なグラデーションを分光性塗料(見る角度によって色が変わる塗料)と独自の塗装レイヤー構造で可能な限り再現し、光の変化で淡く美しい色調を演出しています。


締めくくりに:ハンドメイドクオリティを、量産というフィールドへ

ネオリーンの断面内部構造
ネオリーンの断面内部構造

ネオリーンの製品化は、単なる工業製品としての量産ではありません。

● 試作段階で培った性能を、全個体に再現するための高精度なパーツ設計と生産管理

● ハンドメイドでは実現できないレベルの造形・カラーのリアリティを、妥協なく量産に落とし込む努力

● 「見た目」と「機能」の両立による、総合的な完成度の追求

こうした細部の積み重ねの末、ネオリーンは【使うたびに信頼できる、愛でることのできる釣道具】として形にすることができたのです。


次回は、いよいよ実釣テストの最終結果と、テスターたちのリアルなフィードバック、そして僕がおすすめする㊙チューンをご紹介します。ぜひお楽しみに!

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