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ネオリーンに詰め込んだ性能と内部構造の秘密 開発秘話~episode 2~

  • 執筆者の写真: R.Nakanishi
    R.Nakanishi
  • 4月3日
  • 読了時間: 6分

前回の記事では、ネオリーンの開発に至った経緯や基本コンセプトについてお話しました。第2回では、ネオリーンに込められた具体的な性能と、それを支える内部構造の秘密について掘り下げていきます。

ADUSTAネオリーン無塗装ボディ
ネオリーンの核心部分は内部構造にある

ネオリーンの圧倒的な性能

ネオリーンは、単なるポッパーではありません。ただ大きなポップサウンド奏でるだけではなく、飛距離・操作性・アクションのバランスを兼ね備えた“万能なチャガー”として設計しています。


1. 圧倒的なチャガーサウンド – 深場のバスを引き寄せる力

ADUSTAネオリーンのチャガーサウンド
ネオリーンは強烈なチャガーサウンドを発生させられるポッパー

ネオリーン最大の特徴のひとつが、「大きなチャガーサウンド(ポップ音)」です。一般的なポッパーと比較しても、「ボゴンッ!」という深みのある低音が特徴的の力強いサウンドを発生させます。


音の秘密①:計算されたカップ形状とボディ設計

ADUSTAネオリーンの口部形状
細部まで創り込んだマウス部分。理想的なアクションと音を追求した形状に仕上げている。

●ワイドなカップ形状

開口部は円形に近く上部をワイドに設計。前方の水をかき分け後方に向けて空気をしっかり巻き込む形状に仕上げています。

ADUSTAネオリーンの気泡を巻き込むアクション
マウス形状によって掻き分けられた水と、巻き込まれる空気

●カップ後方のくぼみ

マウス部分で水をかき分け、巻き込む空気量を最大化できるように顔の部分は大きく凹ませています。これにより発生した気泡が破裂することで、遠くまで響くチャガーサウンドを発生し魚を引きつけます。


●浮き姿勢の最適化

ADUSTAネオリーンの浮水姿勢
絶妙なバランスを取った浮水姿勢

静止時からのチャガーサウンドとドックウォーク中のポップ音、双方ともに活かせる最適なウエイト配分・浮水姿勢のバランスを見出しました。


アクションの秘密②:ダブルラインアイで音とアクションをコントロール

ADUSTAネオリーンのダブルアイ構造
ダブルラインアイはアクションを変える

ネオリーンの特徴でもある2つのラインアイを使い分けることで、音の強弱とアクションを調整することが可能です。


●上部アイ(チャガーモード)

ADUSTAネオリーンのチャガーサウンド
ネオリーンは強烈なチャガーサウンドを発生する

大きなチャガーサウンドを発生させ易く、広範囲・深場のバスにアピール。移動距離を抑えて魚を引き出したい時に有効。また、リトリーブすればダーターやミノーのようにウォブリングアクションを発生するため回収時でもバイトを誘発させられます。

ADUSTAネオリーンのスイミングアクション
リトリーブでは水面直下をウォブリング。後方に波紋を作りながらアクションする。

●下部アイ(ドッグウォークモード)

ADUSTAネオリーンのドッグウォーク
水を押すネオリーンのドッグウォーク

ラインスラッグを適度に活用することで、ポッパーでは珍しく左右へのスライド幅が広い水押しドッグウォークが可能。不規則に発生する甘いポップ音はバイトトリガーとしても作用し広範囲を手返し良く探る事ができる。

ADUSTAネオリーンのポップサウンドが混じるドッグウォークアクション。
不規則に発生する甘いポップサウンドがバイトトリガーになる

これにより、1つのルアーで多彩なアプローチが可能となり、シチュエーションに応じた使い分けができるようになっています。


2. 驚異的なロングキャスト性能

ポッパーの最大の課題のひとつが「キャストの飛距離」です。特にオカッパリの広大なリザーバー攻略では、ルアーの遠投性能が釣果を大きく左右します。ネオリーンは独自のウエイト設計でキャスタビリティを大幅に進化させています。


飛距離の秘密①:低重心設計

ADUSTAネオリーンの内部構造
独自形状のウエイトを製作することで超低重心を実現

一般的なポッパーでは、鉄球(スチールボール)をウェイトとして使用することが多いですが、ネオリーンでは「ジンク(錫・亜鉛合金)」を使用した独自形状の成型ウェイトを採用。この成型ウェイトによって超低重心化に成功しています。


●超低重心設計が可能にしたこと

ボディの下部に可能な限り低く配置することで、飛行中ボディが回転しにくく飛行姿勢が安定、空気抵抗を抑制し飛距離の延長に貢献。これにより、ネオリーンは空気抵抗を最小限に抑え、まるで弾丸のような飛行軌道を可能にしています。

また、この超低重心設計はアクション面においても【おきあがりこぼし】の効果を最大限に活用できレスポンスの良いドッグウォークアクションを可能にしています。


飛距離の秘密②:最適なウエイトバランス

飛距離を出すためには、単純にウェイトを増やせばいいわけではありません。ウエイトを配置する場所にも最適解が存在しています。


●後方低重心設計

ボディの腹部に大きなメインウェイトを超低重心で配置。前方にも分散したカウンターウエイトを低重心で配置し飛行姿勢のブレを抑えています。この工夫により、ブレずに狙ったピンポイントに決まるキャスタビリティを実現しました。


3. 水を押す【水面直下3cm】のドッグウォークアクション

ADUSTAネオリーンの水押アクション
独自のウエイト設計が実現する水押アクション

ポッパーの欠点のひとつに、「水を押さずに水面に飛び出し、滑ってしまうアクション」があります。ネオリーンは単なるドッグウォークではなく、しっかりと水を押しながら動くアクションを目指して設計しています。


●アクションの秘密①:カウンターウェイトの配置

ネオリーンは、喉元(アゴの下)に小型のカウンターウェイトを配置しています。

ADUSTAネオリーンの水に絡むアクション
コンパクトなボディながら、しっかり水を押しながらスライドするネオリーン

これにより

●ドッグウォーク時に水を押す【水面直下3cm】のアクションが生まれる

● 時折、甘い「キュポッ」というポップ音を自動的に発生

● ウッドプラグに近い、ナチュラルな水絡みのアクションを演出

を可能にしています。


特に、水を絡める【水面直下3cm】アクションが特徴で、【水面を壁にする】ネオリーンの「釣れる動き」の大きな要素となっています。

ADUSTAネオリーン水面直下3cmアクション
絶妙な浮力バランスで水を被ってアクションするネオリーン

これらのアクションを効果的に出してもらうためにはラインセッティングが重要で、僕のオススメ(開発時のセッティング)は、スナップ(#0~#1)を使用したナイロンライン12~16lb。特にスナップ(#0)・ナイロンライン12lbでの使用が最も水絡みが良く【水面直下3cm】の理想的なアクションを出しやすい設定です。


まとめ:ネオリーンの性能の核心

ADUSTAネオリーン APブルーギル カラー
チャガー系ポッパー【ネオリーン】

ネオリーンは、以下のような要素を内包した“万能なチャガー”として仕上げています。


● 独自の口部形状で低く響き渡るチャガーサウンドを実現

● 成型ウェイトを採用し、低重心で安定した飛行姿勢を実現

● 重心バランスを最適化し、空気抵抗を制御してロングキャスト性能を発揮

● カウンターウェイトを配置し、水を絡める【水面直下3cm】のドッグウォークアクションを可能に

● イレギュラーに発生する「甘いポップ音」がバイトトリガーとなる設計

ADUSTAネオリーンの水押ドッグウォークアクション
ネオリーンは、日本ならリザーバーのオカッパリで大活躍する

この様にネオリーンは特にオカッパリで使用するポッパーに求める要素を詰め込み、単純な「ポッパー」ではなく、「飛ばしやすさ」「アクションのしやすさ」「魚に口を使わせる要素」を纏め上げた設計になっているんです。


次回は「試作とテスト – プロトタイプ製作と実釣テスト」について詳しく掘り下げていきます。お楽しみに!

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