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【A-PEN68開発の記録】第9話 ~原点回帰としてのA-PEN68~

  • 執筆者の写真: R.Nakanishi
    R.Nakanishi
  • 5 日前
  • 読了時間: 6分

更新日:2 日前

ここで一度、少し休憩のような形で「原点回帰」というテーマの話をしたいと思います。

僕がバス釣りを始めたのは、第1次バスブームと第2次バスブームの間、1986年頃。小学校2年の頃にバス釣りに出会い、地元のダムで遊んでいました。

今みたいに情報が簡単に手に入る時代ではありませんでした。 僕が住んでいた環境もかなり田舎で、釣り方のメソッドなんてほとんど入ってこない。

当時使っていたルアーといえば、バスハンターやスピナー。 ワームも、どこのメーカーかよくわからないグラブを一つ持っているぐらい。 5gぐらいのジグヘッドに付けて巻く。 そんな感じの釣りでした。

限られたタックルではあったが、一匹の魚との出会いがとても嬉しかった。80年代。
限られたタックルではあったが、一匹の魚との出会いがとても嬉しかった。80年代。

だから当然、簡単には釣れない。 1日やって1本、良くて2本。でも、その1匹がものすごく嬉しい。 今思えば、あの頃は1匹の価値が本当に大きかったと思います。

そんな環境だったからこそ、僕はトップウォーターの釣りに強く惹かれていきました。

本格的にバス釣りを始めた高校生になったばかりの1994年頃。バズベイトで48cmのバスを釣ってから、水面で出る釣りに一気にハマっていったんです。簡単に釣れない。 でも、出たときの喜びがとてつもなく大きい。

「楽しいトップの釣りで1匹釣りたい」

その気持ちが、あの頃はとても強かったですね。


大きくても18gクラス。通常7~10gのルアーがメインだった。そのクラスのルアーがバスとの出会いを支えてくれていた。
大きくても18gクラス。通常7~10gのルアーがメインだった。そのクラスのルアーがバスとの出会いを支えてくれていた。

当時の基準を思い返してみると、 メインになっていたルアーの重さは7g~18gだったと思います。ラインは12lb~16lb。

それが僕の周り、ダム湖を中心に川や野池など小規模フィールドをメインにする多くのアングラーにとっての「普通」でした。

ところが時代が進むにつれて、ルアーの平均サイズはどんどん大きくなっていきます。

1oz(28g)クラスのトップウォーターの流れからビッグベイトへ。 そしてジャイアントベイトという概念が生まれ、 使用するルアーサイズはどんどん大型化していきました。

今ではミディアムヘビークラスのロッドでジョインテッドクロー178を投げるのが普通のセッティングになっていますが、 当時の感覚では178というサイズは完全にビッグベイトの領域でした。専用タックルが必要だろうという考えで、 それ用のロッドを買わないと投げられない。そういう感覚だったと思います。


では今、魚が釣れにくいという感覚が強くなっているのは、 多くの人が使うルアーサイズの平均が大きくなったということも一つ要因としてあるんじゃないかと思ったりもします。

よく行くダム湖でゴミ掃除をしていると、このフィールドでこのサイズを常に使ってるの?と感じるようなサイズのルアーや、とんでもなく太いラインを多数回収することがあります。

僕のようにダム湖を中心に川や野池など小規模フィールドをメインにするアングラーと、琵琶湖や池原・七色などバスボートを使えるレベルのフィールドではメインに使うルアーのサイズが違って当然だと思います。

それが長年、メディアによって大きなフィールドでのビッグバスの釣りがフォーカスされ、大きなフィールドの釣りを自分たちの小さなフィールドで実践しようとするあまり、そこにギャップが生まれているのではないか?

本来、フィールド規模、攻めかたに合わせてルアーサイズも選ばなければいけないのではないか?そう思うんです。


大きなサイズが釣れればもちろん嬉しいが、それ以上にルアーで釣れてくれる一匹が本当に嬉しかった。
大きなサイズが釣れればもちろん嬉しいが、それ以上にルアーで釣れてくれる一匹が本当に嬉しかった。

一方で、 「1日で釣れる本数」という感覚で見てみると、80年代、第1次バスブームが終わって 第2次バスブームが始まるまでの間の釣果感と、 今の釣果感は、実はそこまで大きく変わっていないのではないかとも感じるんです。

そう考えたとき、 僕の中でふと浮かんできたのが

「あの頃の基準に戻ってみたらどうなんやろう」

という感覚でした。

そこで改めて考えたのが、ラインは12lb中心・10g前後のルアーサイズだったんです。最近の僕の釣りは、 意識的にこのサイズを中心に組み立てています。

このサイズ感が、当時の僕の釣りでは 一番魚との出会いが多かった。リザーバーでも野池でも、 そこそこ良いサイズのバスに出会いやすい。


そして今、チニングという釣りを通して、改めて感じていることがあります。それは 7g〜14g前後のルアーサイズが持つ絶妙なバランスです。

昔と比べると、タックルの性能は格段に向上しました。ロッドもリールもラインも進化して、かつては少し扱いにくかった7g前後のルアーでも、今では気持ちよくフルキャストできるようになっています。

そうなってくると、この 7g〜14g前後というサイズレンジは、チヌでもバスでも、魚との出会いを最大限に高めてくれる、とてもバランスの良い領域なんじゃないかと感じるようになりました。


大阪湾で爆釣できたA-PEN68プロト
大阪湾で爆釣できたA-PEN68プロト

そして A-PEN68。68mm・8〜8.5g。このサイズは、まさにそのレンジのど真ん中にあります。

バスとの出会い。

チヌとの出会い。

開発に協力してくださった皆さんの釣果報告。

そして淀川でのバスの爆釣。

大阪湾でのチヌの爆釣。

そうした経験を重ねていく中で、このサイズ感は 魚との接点を最大限に作り出せるサイズなのではないかと強く感じるようになりました。

だからこそ僕にとって A-PEN68は原点回帰といえるルアーなんです。


淀川釣行で遊んでくれたバス
淀川釣行で遊んでくれたバス

ルアーフィッシングという遊びは、いろいろな価値観で魚たちと向き合える、とても自由で楽しい遊びだと思っています。人それぞれに釣り方があり、人それぞれに楽しみ方がある。

その一つ一つの価値観を実践できるからこそ、ルアーフィッシングはこれだけ多くの人に受け入れられ、愛され、そして多種多様なスタイルが生まれてきたのだと思います。


魚の大きさだけじゃない。

自己記録の更新だけじゃない。

数釣りだけでもない。

魚の居場所を探し、フィールドを読み、ルアーを通して魚たちと出会う。その一連のプロセスには、まるで冒険のような楽しさがある。


だからこそ僕は、もう一度その原点に立ち返り、【魚と出会う楽しさ】を、改めて多くの人に感じてもらいたい。そんな思いが根底にあったから様々な困難があっても A-PEN68を開発して来れたんだと思います。


次の章では、  A-PEN68の内部構造について解説していきます。68mm・8.5gというサイズの中で、 どのように浮力の余白を残しながら、 アクションさせやすく、しっかり飛ぶ構造を作ったのか。内部構造設計の革新というテーマで紹介していきたいと思います。


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