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ゼルファス開発の記録|第1話

  • 執筆者の写真: R.Nakanishi
    R.Nakanishi
  • 2025年9月8日
  • 読了時間: 4分

更新日:2025年10月3日

今回から数回にわたり、アダスタ最新作「ゼルファス133F」が完成に至るまでの道のりを、創り手としての視点から綴っていきたいと思います。単なるスペック紹介ではなく、「なぜこの形に辿り着いたのか」「どんな試行錯誤を経たのか」といった背景を、皆さんにお伝えするつもりです。第1話となる今回は、その出発点からお話を始めていきましょう。



挑戦のはじまり ― 2023年12・伊良湖で見えた“足りない一手”

開発のきっかけになった伊良湖サーフでの撮影釣行
開発のきっかけになった伊良湖サーフでの撮影釣行

2023年12月のことでした。ヒグチ釣具店さん主催のシーバスパーティーのあと、和田テスターと伊良湖でランカーシーバスをターゲットにした撮影・実釣を行った帰り道でした。

当時のアダスタには、シーシェーカーサリューウラガノといったシンキング系のルアーが揃っていました。しかし、伊良湖のように根のあるサーフを正面から攻略しようとすると、どうしても“選択肢が少なすぎる”。 結論はシンプルでした。「フローティング・ミノーが要る」。ここからゼルファスの開発が動き出しました。



市場に“ない”サイズ感と、欲しい飛距離

まずは和田テスターとともに、メジャーメーカーのミノーを総ざらいしました。 すると、次のような傾向が見えてきました。

  • よく飛ぶといわれるモデルはあるものの、120〜130mm帯には“本当に遠くまで”を満たす選択肢が少ない

  • 140mm級は飛距離に余裕がある一方で、手持ちのタックルでは、やや重くなる場面が少なくない

そこで狙いは定まりました。 「125〜130mmクラスのボディで、140mmクラスの飛距離を出す」。 加えて、フローティングであること。サーフでの根周り回避レンジコントロールを意識すると、この条件は譲れませんでした。



初期要件:大物を狙える“2フックのリップレス”

伊良湖の開発拠点――ヒグチ釣具店の樋口さんも交え、ディスカッションは熱を帯びていきました。 議論を重ねるほどに、製品の骨格が浮かび上がってきました。

  • 形式リップレスミノー(フローティング)

  • サイズ約130mm

  • フック仕様2フック(大物対応のため)

  • 性能要件

    • “よく飛ぶ”こと

    • 着水直後からの立ち上がりが良いこと

    • ウォブンロール系のアクションであること

要件は単なる願望ではありません。2023年の12月の撮影釣行から逆算した“設計目標”でした。



プロト【No.9】の登場 ― 飛距離の手応え

ゼルファスのプロトタイプ・コードネームNo.9
ゼルファスのプロトタイプ・コードネームNo.9

競合製品や同スペック高評価モデルの研究を下敷きに、形状設計と試作を反復しました。 伊良湖に通い、樋口さんと一緒にテストを重ねた末、頭一つ抜けたプロトが現れました。 コードネームは【No.9】

  • このクラスでは抜群の飛距離

  • リップレスとしての伸びやかな弾道

一方で課題も明確でした。 「浮きがややゆっくり」「もう一段、飛距離を伸ばせる余地がある」。 つまり、**“現場で戦える手応え”は掴んだものの、“どの場面でも勝ち切れる完成度”**には、まだ距離がありました。

結論は一点。No.9を基点に、徹底的に煮詰める。



重心移動構造の探索

次に向き合ったのは、重心移動システムでした。 固定重心/通常の重心移動/マグネット重心移動――方式ごとに試作し、投げ比べました。 テスターごとのタックルバランスキャストフォームによっても印象は変わるため、キャストフィール実測飛距離アクションのレスポンスを総合評価しました。

そこで見えてきた“最適解”が、マグネット重心移動×ウエイトボディ下部移動方式でした。 背中側を通すアーチ状の重心移動ではなく、ボディ“腹面”に沿ってウェイトが走る。さらに、テールから、わずかな勾配を設けることで、着水と同時に重心が前進し、マグネット+小突起で素早くロック。 この構成が、とウエイトボールの戻りの速さアクションの立ち上がりの良さを同時に引き上げました。



第1話の終わりに ― “狙い”が輪郭を持った日

こうして、ゼルファスの最初の輪郭がはっきりしました。 130mmフローティングのリップレスで、140mm級の飛距離を引き出し、着水後ハンドル1回転で動き出す。 大物を想定した2フックで、ウォブンロールがアクションが素早く立ち上がる――。

No.9は、理想への“入口”を示してくれました。 次回からは、この入口の先――飛距離をさらに安定させ、アクションを磨き上げていく試行錯誤に踏み込んでいきます。



つづく|第2話 予告

内部構造が決めた“飛び”

ゼルファスなぜよく飛ぶのか?ゼルファスを製品版へ収束させる最終段階で、どう作り込んでいったか?製品化に至るまでの流れと道筋に焦点を当ててお伝えしようと思います。


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