ADUSTAのルアーデザイナー中西です。
このブログでは ザックロール YAJIROBEE の開発ストーリーやコンセプト・チューニングなど、今まであまり明かしていない部分をお伝えできればと思います。
エピソード2となる今回は ザックロール YAJIROBEE の原型・ボディ設計はいかにして生まれたか?を伝えできればと思っています。
外観から見るボディ形状設計
デッドスローでかつ可能な限り細かなピッチでアクションさせるために、大きなウイングを装着することは予めの設計基準として盛り込んでいました。そのため、ボディ自体は大型ウイングの自重に耐える浮力を確保するため、ボディ全長に対して太めのふっくら丸い断面で製作。ウイングをつけるボディ中央部分が最も太く浮力をしっかりと確保できる形状としました。また丸いボディ断面は起き上がりこぼしのようにデッドスローからの初動レスポンスにも貢献しています。
口部分は大きな平面を確保し、やや斜めにカットすることでデッドスローリトリーブ時からでも水を左右へ逃して動き出しのきっかけを作り出す形状としています。
また、アクション時にはボディが水に絡み、水なじみが良いようにテール部分は水中に入るように下がり気味の形状に設計しています。
ザックロール YAJIROBEE のボディ形状を総合的にみると、先人たちが羽ものルアー製作で培ってきたノウハウを大切にしつつも【ADUSTAのルアーだな】ということが一目見てわかるような形状に設計しています。
内部構造
ミスキャストでカバーへ衝突・猛魚のアタックなどに対応するためボディ内部は隔壁を多数設け衝撃・変形に対して強度を確保する設計としています。
デザイン(原型意匠)
オーストラリアからの依頼ということもあり、やはりマーレーコッドをモチーフとしました。ふっくらと丸いボディ形状とも相まってモンスターサイズのマーレーコッドを彷彿させる厳つい表情を再現しました。
ウエイト設定
ザックロール YAJIROBEE を開発するうえで、最も時間をかけた部分となります。初期ハンドメイドサンプルでは高浮力気味だった設定から、ABS素材サンプルへ進むにつれ浮力をぎりぎりまで落とすため、大きなウエイトをテール部分に挿入、大きなウイング重量と連動させることで、玩具のヤジロベエのような状態を作り出しています。そのため少しでも左右へ振り始めると連続的に振子現象が発生してアクションし続けるようにウエイトバランスを設定しています。
特にローギアリールでデッドスローリトリーブしていただくと ザックロール YAJIROBEE 特有のアクションを引き出していただけると思います。
また、この後部重心・高比重設定はバス等に見られるバキュームバイトに対しても良好な設定となっており、吸い込まれやすく、丸のみされやすいため、フッキング率の向上にも貢献しています。そして後部重心はロングキャスト・キャスタビリティにも貢献しており、狙ったスポットへ正確にロングディスタンスからのアプローチも可能にしています。
次回はそんな ザックロール YAJIROBEE を構成している各金属パーツのコンセプトについてご紹介できればと考えています。
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