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  • 執筆者の写真R.Nakanishi

ADUSTAルアーの設計と造形の関係

更新日:4月12日

ADUSTAのルアーデザイナー中西です。

今回はADUSTAで製作しているルアーの設計と造形の考え方の概論を紹介しようと思う。


ADUSTAザックロールジュニアダッシュ
形態は機能に従う。ザックロールの形状もデッドスローからのアクションを求めた形状になっている。

大切なのはルアーは魚を釣る道具であること

ADUSTAのルアーは一見して造形が目立ってしまうため、【見た目から入ってルアーを作っている】と思われがちだが、実際は完全に逆のプロセスを経て制作している。

ルアーはあくまで【釣道具】であって、フィギュアや置物ではない。実践に使えて釣れてこそ初めて【ルアー】という【道具】として存在意義があると考えている。そして【道具】は【必要性】から生まれるからこそ使うべき場所や使用方法が明確になる。ADUSTAはルアーという【道具】を作り出すアプローチとして【必要性】こそが最も重要なファクターだと考えている。


ADUSTAスピナーベイト設計スケッチ
まずはルアーに求められる要件を徹底的に検証する。これはスピナーベイトを制作する際のスケッチの一部

【必要性】という言葉を形に変えるプロセス

テスターが現状の釣りで【困っている】部分、自分が釣場で【もっとこうだったら】と感じる部分を、いかにして解消するか?どのような工夫や形状が必要なのか?という思考にこそ可能性が秘められていて、現状を打破する新しい形を見いだせるスタート地点とも言える。

基本形状を策定するには先ず、【何処で、どう使うか?求めるルアーの動きは?】という問いからルアーのシルエット【基本形状】をあらまか策定する。このシルエット状態の凹みや凸には一つ一つに目的があり、アクションと使用感に密接にリンクしている。

僕の場合【基本形状】の策定は頭の中で行っていて、皆さんの目に触れられる上記のようなスケッチの段では、【基本形状】がほぼ出来上がっている。94年頃から様々なルアーを試し、本を読みあさり、様々なルアーを制作するという事を繰り返してきたからこそ、頭の中で基本形状をとっさに作ってしまえる特殊能力を養えたのだと思う。


ADUSTAテストモデルのポッパー原型
テスト中のポッパーの原型。まず基本形状を作り上げその後に造形を融合させた好例。

【性能】と【造形】の融合

基本形状ができた時点で、アクションや使い勝手はある程度固定されているので、最終段階として造形・装飾を施していく。

僕の造形・装飾の考え方は、基本構造を崩さずに生命感を出せるモチーフやターゲットとなるベイトフィッシュを選定し、基本形状に融合させる。

一見凄くリアルな印象を持たれるかもしれないが、実際の魚と比べてみると僕が作るルアーのような形をした魚は存在しない。それは機能的形状の上に装飾として、アレンジした【魚っぽさ】【生き物っぽさ】を乗せているからこそ。いわば【妖怪】や【クリーチャー】のようなものを生み出しているイメージ。ルアーの見た目は、【これ、釣れるかも】【これで釣ってみたい】というアングラーの【投げる・使い続ける】心理的モチベーションにも深く関わっている部分だと思っている。だからこそルアーの見た目も、ルアーという道具の大切な機能の一つとして捉えて研鑽し続けている。


また樹脂成形品であるルアーは金型製作の時点で有機的な凹凸表現が苦手な部分がある。しかしその限界点を目指しチャレンジし続けることで、特徴的な生命感あふれる造形が出来上がってくる。それは道具であるルアーの性能・機能美をフルに活かした状態で、一つの工芸品的な【モノ】へと昇華させ【同じ釣りをするならカッコイイルアーで釣りをしたい】という所有感をも満たせるよう追求した部分なのである。


この釣道具としての【性能】と工芸品的【造形】の融合こそがADUSTAの体現するルアーなのである。

それは【釣道具】として実釣能力の基礎が完成していてこそ実現可能なものでもある。


ADUSTAのルアー設計と造形の捉え方・アプローチの方法をざっくり紹介させてもらった。これからも一つ一つのルアーの紹介の際に形状の理由などをお伝えしていきたいと思う。




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